Csikszentmihalyi博士により提唱されたフロー理論は、人間がフロー(Flow)という経験を通してより複雑な能力や技能を持った人間へと成長していく過程を理論化した「人間発達のモデル」であり、「モチベーションの理論」である。
フローとは、内発的に動機づけられた自己の没入感覚を伴う楽しい経験を指し、フロー状態にあるとき、人は高いレベルの集中力を示し、楽しさ、満足感、状況のコントロール感、自尊感情の高まりなどを経験する。また、これまでのフロー研究では、フロー経験と主観的幸福感、生産的活動への参加意欲、学習意欲、創造性などとの間に密接な関係があることが報告されており、日本人を対象とした調査においても、フロー経験の頻度と日常生活における充実感との間に正の相関が見出されている。
つまり、フローは人を活動に向かわせるドライビングフォース(driving force)となり得る経験であり、その活動においてフローを繰り返し経験することにより、人はその活動を遂行するためのより複雑な能力を身につけていく。
(浅川希洋志 2010)
一つの活動に深く没入しているので、他の何ものも問題とならなくなる状態、その経験それ自体が非常に楽しいので、純粋にそれをするということのために多くの時間や労力を費やすような状態
(Csikszentmihalyi 1996)
(1)達成できる見通しのある課題と取り組んでいる時に生じる
(2)自分のしていることに集中できている
(3)明確な目標がある
(4)直接的なフィードバックがある
(5)意識から日々の生活の気苦労や欲求不満を取り除く、深いけれども無理のない没入状態
(6)自分の行為を統制している感覚をともなう
(7)自己についての意識は消失するが、フローの後では自己感覚はより強く現れる
(8)時間の経過の感覚が変わる
(Csikszentmihalyi 1996)
2011年5月21日に開催された、TEDxTokyoでの天外伺朗氏のスピーチです。
上記スピーチで紹介されていたのが、フロー理論の提唱者である、ミハイ・チクセントミハイ博士のスピーチです。
『ハイ・コンセプト』の著者ダニエル・ピンク氏も、著書『モチベーション3.0』でフローについて言及しています。